財産分与について①

「財産分与」とは,離婚する際に,婚姻期間中に夫婦で築いた財産(夫婦共有財産)を分ける制度です。名義がどちらかということは関係なく,夫婦共有財産と言えれば財産分与の対象となります。

 離婚時には財産分与について何も話していなかった,という場合でも,離婚成立から2年以内は請求可能です。

 いつの時点の財産を分けるかというと,原則として,別居開始日か離婚成立日の早い方に存在する財産です。

 特別な事情がない限り,夫婦は平等に資産を築くことに貢献したとして,2分の1ずつ分けるのが現在の裁判等での運用です。もちろん,当事者間で合意できればそちらが優先されます。

 いくらもらえるかを考えるときに忘れがちなのが,ご自身名義の財産です。相手名義の財産の2分の1をもらえるのではなく,ご自身名義の財産もあわせて計算されます。つまり,【(夫名義の資産+妻名義の資産)÷2-ご自身名義の資産】で計算された金額を受け取ることができる,ということになります。

 財産分与の対象となる財産で代表的なものの例を挙げると,

  預貯金  生命保険  不動産  自動車  株式 

といったものがあります。

 生命保険については,必ずしも解約する必要はなく,解約返戻金額が計算上組み込まれます。解約返戻金額は,日付を指定して保険会社に依頼すれば,計算してくれます。

 不動産や自動車については,ローンが残っている場合に注意が必要です。また,ローンが残っている不動産や自動車については,名義変更だけしてローン名義人はそのまま,ということはローン会社(金融機関)との契約内容で禁止されていることがほとんどです。

 債務(借金)についても,原則として財産分与の対象となります。住宅ローンを含め,債務が多い場合などはその内容を精査する必要があります。

 

 このように,財産分与には複雑な問題が沢山ありますので,財産分与を請求したいとお考えの方は,是非弁護士にご相談ください。

 ご自身の場合はどうなのか具体的に相談したい,という場合には,配偶者名義の資産がどのくらいあるのか,ご自身名義の資産がどのくらいあるのか,ということをわかる範囲でまとめていただくとご相談がスムーズです。

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