財産分与について②
前回は財産分与制度の大枠を簡単に紹介しました。今回は補足的なお話を少しですが紹介します。
【特有財産とは?】
「特有財産」とは,妻・夫の固有の財産とされ財産分与の対象とならないものを指します。「固有の資産」などと表現されることもあります。
例えば・・・
・交通事故に遭い,加害者側からもらった慰謝料
・親族から相続した遺産
などが代表的です。
しかし,実際には裁判所が特有財産であると判断するハードルは高いように思います。特に,婚姻期間が長い場合の預金額等では,特有財産と夫婦共有財産(婚姻期間中に共同で築いた財産)との区別が難しくなる傾向にあります。区別が困難な場合には,夫婦共有財産に「混在している」として全額が財産分与の対象となることもあります。
また,不動産等の購入の頭金として親族からの援助を受けているような場合には,購入資金に対する割合に応じた持分について,特有財産であると取扱う場合もあります。ただし,いくらの援助だったのかの資料等が残っておらず,その額について争いが生じるような場合には,最終的には証拠ナシとして考慮されないことになる可能性が高いでしょう。
【財産分与と税金】
①分与を受ける側
原則として財産分与を受けた場合に課税されることはありません。ただし,例外があります。
・財産分与の名目で過度な譲渡を受けた場合(過度な範囲で課税)
・脱税を目的として離婚をして譲渡を受けた場合(全範囲)
など
②分与した側
金銭以外で財産分与を精算する場合には,課税される可能性があります。特に不動産については,財産分与で名義変更を行った場合,分与した側(譲渡した側)に譲渡所得税 が課税されます。共有名義の持ち分を引き取ってもらう場合などに注意が必要です。
税控除が受けられる場合もありますので,不動産名義を分与する可能性がある場合には,あらかじめ税理士さんに相談するなどして確認しておくのがおすすめです。